模擬国連
「国連弁当」
日時:令和3年7月16日(金)
対象:1~3年生
【活動内容】
参加者一人一人が世界各国の大使となって国際問題を話し合うことで、国連会議を再現する模擬国連を開催した。
全地球民のために共通の給食を提供するというプロジェクト「世界共通給食計画(United Nations Common Lunch for Everybody)」にならい、すべての国連職員でディナーをするという設定で「主菜、副菜、デザート、ドリンク」メニューを決定するというテーマで行った。
生徒が32か国に分かれ、まずは自分が担当する国の基本的情報を調べ、今回の会議で提案したい食事とその理由を考えた。
模擬国連は、開会宣言、出席確認から始まり、討議の中では、生徒がそれぞれの国の代表として、自国の食事をメニューに取り入れてもらえるように各国と交渉を行った。
今回の決議は、ロールコール方式とし、3分の2を超える賛成で可決とした。
様々な国が協力して、それぞれメニューを提案した。
採決では、ブルキナファソが提案した主食「ガポオライス」、サウジアラビアが提案した副菜「サンブーサ」、イギリスが提案したデザート「トライフル」が賛成を得られて決定した。
【生徒の振り返り】
設問1: 自分の国を担当してみての感想や学んだこと、感じたことを教えてください。
- 先進国だったので、農業などいろいろなものが発達していて、交渉などがしやすかった。
- 主食としてビビンバを提案したが、韓国は先進国なので貧困問題や、内戦などの問題があまりなく、賛同をもらおうとしても、途上国のものに決定した方が世界の問題解決に繋がるため、あまり賛同して貰えなかった。韓国はパプリカやニンニクの生産が多いため、あまり材料提供出来ないと思っていたが、声をかけてもらうことが予想外で意外だった。
- 資源や料理は豊富だったがマイナーな料理が多く、主食をあまりアピールすることができなかった。
- タイでは奴隷労働者が、自分達が普段食べている養殖エビの餌となる魚を獲っていること。 →タイはエビが有名なのは知っていたがその裏にタイへの移民労働、強制労働をしている人が沢山いるというのを知り驚いた。タイでは遺伝子組み換えが禁止されているが、輸入は禁止されていないことも分かった。
- 技術もあり、提供できる農作物も多い国だったので様々な農作物を提供できた。ただ、提供を依頼されることも多く、それぞれどのメニューに賛同するか、難しいと思った。
- 食料自給率があまり高くない国だったのでメニューを提案するのが難しいと思っていたが、他の国と協力することで、自国の料理を広められる機会になった。途上国へ資金援助などを条件として賛同してもらうことで、貧困問題や自動労働問題などについて解決することが出来るので一石二鳥だと思った。
- 食料自給率が0だが、輸入した食料を使った有名な食べ物が存在している国だったので、どうやったら他の国と繋がることができるかや、どうやったら公平な貿易が行うことができるかをたくさん考えた。とても難しくて、名前を貸すことくらいしか力がないことに孤独や無力を感じた。
- 初めはエジプトと聞いて、砂漠などしかなく観光向けの都市だと感じていたが、調べ学習を通して生産量が世界で10位以内の食材がたくさんあり、競争率が高いなど、その意外性にとても興味を持てた。調べる中で食品ロスやその国の課題もたくさん知ることが出来た。
- 最初、韓国は辛いものが多く、体に悪い食品しかないイメージが強かったが、いざ調べてみると遺伝子組み換え食品を規制していたり、意外と食品に気を使っていることが分かった。韓国で作られているものも多く、米が主要作物だと知った時はとても驚いた。そのような意外な一面を見られたことが担当してみての学びだと思った。
- エチオピアには約80もの民族があり、それぞれ言語も違うことが分かった。エチオピアはコーヒー豆の生産地として有名だが、他にもインジェラやワットという料理も人気。また、エチオピアでは遺伝子組み換え作物を推進していることが分かった。
- スペインはフードロスに気を使っていて、国民全体が使える共有冷蔵庫から自由にとっていける食材がある。また賞味期限の切れた食品を通常の価格の30~40%の価格で売る店もある。オーガニック食品にも力を入れ、今オーガニックが推進されている。フードロスの観点から、賞味期限切れの食品や形の悪い食品を安く売ることでフードロスを無くすというのはとても画期的だと思う。日本も法的整備などが整えばそういったことを進められるのではないかと思った。
- スペインでは有機志向が高まっており、それをアピールするため有機栽培された食材を多く使ってアヒージョを作りたかったが、EU以外の国の有機農業は停滞していることが分かった。どの国も経済を優先し、健康面や環境については後回しになってしまうことも明らかになった。
- パラグアイを担当した。 調べることや、情報は昨年と変わらなかった。 提案したドリンクについても 「マテ茶」で去年と同じにした。 全てにおいて同じだったのですが、 去年も経験したということもあり 去年の反省を生かし、 今回は他国との協力を大事にした。 それによって自分の提案が少しは 影響のあるものになったと思い、 やっていてとても楽しかった。
- 食料自給率0%でそもそも貿易が成立しないので、協定を結ぶことができず、名前を書くことしかできなかった。一度運搬をして欲しいと提案されたが、石油を使って運搬したところで、経済が今までと同じように回るだけで自分たちの国に利益がひとつもなかった。食料自給率が低すぎるから国の料理も他国と同じようなものしかない。ひとつでも生産できているものがあれば良かったが、なにもなかったので大変だった。
- イランについて何も分からなかったので興味本位でイランを選んでみた。調べてみると食料自給率が90%に達しているなど自分の想像とは違った点がいくつかあった。また、民族が多いため民族同士での争いがあることや、アメリカと核開発問題で揉めていることなども分かった。
- 宗教が色々大変だと思ったが以外と食べれるものもあった。どの国でも対応できるようなメニューにするため、2つほど用意するという意見をもらい、視野が広がった。
- バングラデシュのように立場が低い国だと、中心となって話を進めるよりも先進国と交渉する必要があったり、主な食べ物の輸出品が少なく、交渉の際にも自国にメリットがあるような話を進めることができないことがあった。また、バングラデシュは貧しい国だったので、災害の影響に対応できるようにGMをしていたり、食の安全性が保証されてなく、立場が弱くなったことを実感した。
- あまり作物は採れないと思っていたが、意外と採れていた。しかし、砂漠が多いということもあり他の国と比べて少ないと感じた。結果として、うまく交渉でき自国の作物を多く使用してもらえたのでよかった。
- 中国は多様な食材が存在しているが、宗教や民族的な視点で見ると、最近は香港やウイグルの問題から国際的にも非難される立場であり、非常に厳しい状況だった。食の提供はできたが、弁当の提案は難しかった。 しかし、グローバル社会の中で厳しい立場の中国の内政に興味を持ったので、これを機に食の面はもちろん、多民族国家の中にある問題を調べたいと思った。
- 自国の料理は他の国と比べると、すでに世界に知られていられる感じがしたので知らない料理をメニューに取り入れたいと思い、食材提供や賛同を積極的に行った。メニューを選択するにあたって、どれを選べば多くの人にメリットがあるかを考えて賛同するのが難しくて悩んだ。
- 初めてオーストラリアを担当したが、今までで最も事前準備に力を入れることが出来た。 まず、オーストラリアでは食料自給率がとても高く、特に畜産や野菜といった、他国が求めている食材を利用していることを知った。また、農業発展に貢献しており、最先端技術や農業留学を行っており、この国連弁当に利用出来ると考えた。その中で私は南北問題という点に目を向けた。歴史的に植民地支配をされていたということ、北と南での格差があるということから、東南アジア、南米、アフリカといった国と提携を結び、多くの作物を提供した。 私たちはもともと人材と資金を提供する予定だったが、今回は国連弁当ということでその政策を行うことができなかった。次の食料問題では人材の派遣と農業留学の発展、またそこから起こる言語の問題や関係性、特に私たちの国では歴史上で白豪主義を掲げており黒人などを差別する文化があったので、そのような歴史的背景がある中で本当にアフリカの人と協力して農業を出来るかどうかなどをもっと探求していきたいと思う。 また、最初にも述べたように食料自給率が高いにも関わらず、あまり貢献出来なかったことを反省点として、次の機会に活かしたい。
設問2: 模擬国連全体を通しての感想や学んだこと、感じたことを教えてください。
- 国の利益やいい関係を作ることを重視するより国としての信念を大事にするべきというのが分かった。
- 今回の模擬国連では材料集めに目が向きすぎていて自国の宣伝ばかりになってしまった。ビビンバに使う肉を大豆ミートにすることでどの宗教の人でも食べれるメニューを考えていたが、他にも貧困や飢餓などの問題に気づけていなかったと感じた。次回は世界の課題にどう尽くせるかを考えれるようにしたいと思った。
- 最初は何をやるか全く分からなかったが、やってるうちにだんだん分かってきて交渉が成功した時は嬉しかった。計画は失敗したものの、アフガニスタンについて詳しくなれたので結果オーライだと思った。
- 最初は担当する国の課題や世界の課題を気にかけながらやろうと意識していたが、模擬国連中は食材の提供や賛同を集めるのに目が入ってしまった。何のためにメニューを決めるのか確認しながら出来たら良かった。遺伝子組み換え作物の話題も沢山出てきてブルキナファソが提案したガパオライスも食の安全性を考慮したものだったので自国の調べだけじゃなくて他国についてももっと調べておくのが大切だと実感した。
- 自分の国と提言している国のメニューに提供することも賛同する上で大切だが、コンセプトに賛成できるか、ということも大切なことだと分かった。また、自分の国の政策と合うのかという所も比べるために、相手の国についてもきちんと調べる必要があると思った。
- 自分たちの提案したメニューの理由や目的に賛同してくれる国が多く居たので進めやすかった。けれど、賛同国を探す時に、○○を提供してくれたら賛同すると言われた時に、サウジアラビアは食料自給率が低いので、難しく感じた。 自分の国だけに夢中にならず、他の国の様子を見たりするのが難しかった。
- 韓国でも最後のアンモデまで主食でビビンバを提案しようと思っていたが、貧困問題や環境問題に対する料理っていうところで、私たちの国はすこし押しが弱く断られてしまうことがあった。 宗教のことでみんなが食べられる料理のことばかり考えてしまい、環境問題や貧困問題のことを考えられなくなってしまった。また人を集めていかないとなかなか進められなくなり、賛同するのか食材だけを提供するのかというところでもごちゃごちゃになってしまったので、次の模擬国連ではそこをしっかりしていきたい。
- 初めはあまり力がなかったので複数の国で力を合わせて提案をしようとしていたが、力を合わせようとしていた国が寝返って、計画していたことが全て白紙になったときに、やることが一旦なくなってしまい困惑した。このような事が実際にあったら国民にも大きな影響がでてしまうので、国同士の駆け引きは大きく出れないことが分かった。
- 模擬国連を通して、たくさんの国の事情を知ることができた。また自分の国の利益を考えつつ相手の国の利益を考えるという事も難しかった。たくさんの国が色々な政策をやっていたり、問題を抱えていたりしたが、自分の国のことに集中しすぎたように思えるので、もっと全体を客観的に見れたら良かった。
- 自国の利益を考えるのも大事だが、それぞれの国のどういう方針に賛同して、どういう世界に変えていくのかを考えることも大事だと思った。全ての国に平等に利益を与えられる政策はなかなか見つからないと思うし、貧困問題や環境問題は全世界共通の問題でもあるので、妥協して考えなければ解決は遠くなると思った。
- 昨年はクウェートを担当して、何も出来なく悲しい思いをしたが、今回はタンザニアとして、1つでも食品に関われたことがとても嬉しかった。自国の何かを入れてもらえる、輪に入れてもらえるのは、世界から見放されてないんだと感じることが出来た。
- イランについて事前に調査し、食料自給率が90%に達していることやアメリカと揉めていることなどを踏まえて国連弁当を行うことができたが、自分の利益を優先してしまい「誰一人取り残さないという」視点を持つ余裕が自分たちになかったと感じた。次回はそこもしっかり捉えて視野を広くして模擬国連に参加したい。「
- 事前準備を細かく丁寧にして、当日に自分から積極的に発言したり交渉することで有意義な模擬国連にすることができると思った。また、模擬国連では国や国の農産物の良いところしか取り上げられずに話し合いが進んでいくので、その先にある自国や世界にとってのデメリットを考えることも必要だと思った。
- やはり先進国や大国が有利だなと感じた。それに比べて後進国は信頼がないため取引が難しいと感じた。自国の利点を積極的にアピールしていくことが大切だと思った。
- 今回の模擬国連は、国が多くて、各国がどう動くのかが想像つかなかった。しかし、GMや宗教を中心に食を通じて各国の経済面や環境的な貧困問題が見えてきて、これらを解決するには、どうしたらよいのかを考えさせられた。今回得た学びを他の問題がテーマの時にも活かしていきたい。
- 今回は事前調査に力を入れたのにも関わらず、自分のやりたいことを違う方向になった途端に諦めて本当にしたかったことと全然違う方向性になってしまったのが悔しい。 カンボジアやタイ、アルゼンチンとは事前調査を共有していたので上手く行くかと思ったが、ブルキナファソやアメリカが当日はいることによって臨機応変に説明や対応が出来ず、あまり良い動きが出来なかった。 この悔いをバネにし、事前調査で出たことを最大限に行かせるようにしていきたい。 なによりもオーストラリアについて良く知ることが出来たのでとてもいい機会になった。 私はもともとイランのイスラム教を政治の中心とした国家での食料状況、社会情勢を知るために立候補したが、メジャーな国をすることも自分の成長へとつながるということを体験した。 次はこの失敗を糧として、もっと広い視野から物事を見つめ、自分も相手国も仲間も気分良く交渉が出来るようにしていきたい。